一般財団法人 淀川勤労者厚生協会 附属 西淀病院・のざと診療所

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後期研修

日本一の家庭医療を学び、地域で活躍できる医師になろう

西淀病院には家庭医・総合診療医が多数在籍。病院をはじめ、診療所や在宅医療の場で活躍しています。またOCFP(大阪家庭医療センター)や臓器別専門医と連携し、病棟・救急・外来・在宅医療の各現場で継続した医療を実践できます

家庭医研修

大阪家庭医療センター(Osaka Center of Family Practice)

家庭医後期研修プログラム

2012年2月改訂

はじめに

気軽に何でも相談でき、確かな臨床能力を持った医師にかかりたい、というのは多くの患者が望んでいることです。しかしこれまで日本では、専門医養成に重点が置かれ結果としてほとんどの「かかりつけ医」がプライマリケア医としての研修を行うことなく診療にあたっていました。そうした状況の中、日本家庭医療学会(現日本プライマリ・ケア連合学会)の尽力で家庭医養成後期研修プログラムの認定が行われ、本格的な家庭医養成が始まりました。
大阪民医連は現在大阪府下に48の診療所を有しています。もともと地域住民の要求から出発し、全ての研修医が診療所研修を行ってきた歴史があります。大阪府下で最初の家庭医後期研修プログラムとして研修医受け入れを始め、他の進んだ施設の内容も吸収しながら、「家庭医」養成を進めています。
この研修プログラムは、日本家庭医療学会の認定後期研修プログラム(2006年2月Ver.1公表)の内容に沿って、当地域・当施設の特徴を生かすことを意識して作成したプログラムを、この間の実践に即して3年ぶりに改定したものです。

一般目標Goals

後期研修修了後、診療所もしくは小規模病院でDisaseとIlness両方に強い家庭医・総合医として信頼され活躍できる。

個別目標Objectives

  1. 「患者中心の医療の方法」を理解し、日常的に実践できる。
  2. 質の高いコミュニケーション能力を身につけ、良好な医師-患者関係を構築できる。
  3. 家庭医・総合医に必要とされる身体診察の技能を修得する。
  4. 地域と診療所で遭遇する機会の多い、Common Problemへの対処法を理解し実践できる。
  5. 医学的問題だけでなく、心理的・社会的・倫理的問題も含む複雑な患者へのアプローチが行える。
  6. EBMの理論と方法を理解し、日々の診療で活用できる。
  7. 小児、思春期、女性、高齢者、終末期などの特性を踏まえたアプローチ法を実践できる。
  8. 家族のライフサイクルを把握し、家族面談・家族志向のケアが実践できる。
  9. 地域診断を行い、地域の医療・介護・保健のチームの中で地域包括ケアを必要な患者に対し提供できる。
  10. 地域住民への疾患理解向上、健康増進の働きかけができる。
  11. 継続的な医療の質の改善が行える。
  12. 健診、予防接種、介護保険制度など社会的制度と資源について理解し活用できる。
  13. 医療経営の評価を行い、改善策を提案できる。
  14. 臨床研究と初期研修医・医学生の教育ができる。
  15. 上記のことを医療チームのメンバーと協調しながら持続的に進めることができる。

研修プログラム名と責任者

大阪家庭医療センター家庭医後期研修プログラム
研修責任者(センター長):大島民旗
(西淀病院院長、日本プライマリ・ケア連合学会研修指導医、日本内科学会専門医、日本呼吸器学会専門医、日本禁煙学会専門医)
家庭医療指導医(副センター長):石井大介(東大阪生協病院)、鈴木昇平(大正民主診療所)

プログラムの特徴

  1. 研修の中心となるファミリークリニックなごみ(以下FCなごみ)は、06年4月に開設した診療所で、民医連で始めて「ファミリークリニック」の名称をつけ、家庭医療の実践を開設当初から目指しています。在宅患者は70名前後で、訪問診療を活発に行っています。
  2. 診療所のある大阪市淀川区は、町工場と古くからの世帯に、労働者、高齢者、子供とさまざまな年齢層の住民がおり、都市型の家庭医を目指す医師が研修するには最適な地域です。ただし周辺の医療状況から、耳鼻咽喉科・眼科疾患や産婦人科疾患を継続して診る機会は少ないといえます。
  3. 研修プログラムは連携する小規模病院とのアクセスのよさ(JR一駅、送迎バスあり)を生かし、病棟研修、診療所研修の両方をバランスを取って研修が可能です。研修医が診療所の外来・在宅で診ている患者が入院したら主治医として担当が可能です。
  4. 医師だけでなく看護師始め多職種が研修へかかわり、チームでの診療と評価を行います。
  5. 民医連は共同組織(医療生協、友の会)に支えられており、そうした地域の住民とのかかわりから地域のニーズを学ぶことができます。

研修期間と受け入れ定数

2年間の初期研修修了後の医師(終了直後でなくてもよい)
3年間、定数毎年4名

研修施設

必修研修

診療所(6ヶ月):FCなごみ(大阪市淀川区)
総合内科(6ヶ月):西淀病院(218床、大阪市西淀川区)or耳原総合病院(384床、堺市)orコープおおさか病院or東大阪生協病院
小児科(3ヶ月):耳原総合病院or尼崎生協病院or淀川キリスト教病院

選択研修

耳原総合病院:内科(総合、消化器、循環器、糖尿病、神経リハ)、ICU、ER、外科、整形外科、麻酔科
西淀病院:内科(地域総合、呼吸器、消化器、糖尿)、整形外科、婦人科、小児科(外来)、泌尿器、皮膚科
コープおおさか病院:内科(総合、消化器)、泌尿器
尼崎生協病院:内科、小児科、産婦人科
東大阪生協病院:家庭医、神経リハ
精神科:吉田病院、さわ病院
診療所:のざと診療所、大正民主診療所
老人保健施設「よどの里」、訪問看護ステーション

研修ローテーション

研修ローテーションは3年間終了時のアウトカムが、一般目標に到達するように設定します。
大阪民医連の後期研修採用試験(面接)を行った後に、採用通知で連絡し、その後プログラム責任者とヒアリングを行い、ローテーションを決定します。
ローテーションの変更希望は、3ヶ月前までに希望を伝えて、大阪民医連研修委員会で確認します。

後期研修1年目
後期研修2年目
後期研修3年目
その他(3年間を通じて実施する内容)

評価とフィードバック

研修修了後の進路

大阪の民医連診療所(所長もしくは副所長)、中小規模病院の教育担当、サブスペシャリティーを持った総合医、プライマリ・ケア医、外来中心医など

参考

総合内科研修

西淀病院地域総合内科後期研修プログラム

対象と期間

西淀病院地域総合内科後期研修は、将来中小規模病院で家庭医療・プライマリケアを担う意思のある人を対象とし、期間は3年間とする。

一般目標

将来プライマリケア・地域医療を担うために内科にとどまらない病院基盤型家庭医療を学び、地域で包括的・継続的に患者様を診る視点を身につける。生涯学習し発展していく職業人としてのプロフェッショナリズムを養う。
後期研修中に日本内科学会認定医の取得を目標とし、後期研修終了後に日本内科学会総合内科専門医の取得を目標とする。当院は日本内科学会教育関連施設であり、内科学会認定医取得後5年間の研修で総合内科専門医の受験資格が得られる。

プログラムの構成

3年目前半の地域総合内科での研修(6ヶ月以上)、5年目前半での地域総合内科での副指導医を必須とする。残りの期間は初期研修で不十分だった分野を中心にローテーションを行う(大阪民医連の他院所も含む)。希望により6ヶ月までの外部研修も可能である。

3年間のローテート例

研修ユニット

3年間の研修を通して、各科のローテーションと並行してユニットごとの研修を行う。ユニットごとに分けて期間と研修目標を設定する。全体を統括する指導責任者とともに、それぞれのユニットについて指導者を決める。ユニットによっては医師以外の職種が指導者になる場合もある。以下に示す期間や到達目標・研修方略は概略であり、それぞれ研修医・指導者間の議論の上で変更して最終的に決定する。

(1)家庭医を特徴づける能力ユニット

期間:後期研修の3年間

到達目標

  • 生物心理社会モデルと患者中心の医療、家族志向のケア、健康増進と疾病予防、地域住民のケアなど家庭医を特徴づける能力を理解し、臨床に生かすことができる。

研修方略

  • 指導医や他の研修医とともに、患者中心の医療、家族志向のケアなどについて標準的な教科書の抄読を行う(週1回)。
    参考文献 家族志向のプライマリ・ケア
    S.H.McDanielら著  松下 明訳   シュプリンガー・フェアラーク東京   2006
    患者中心の医療   M. Stewartら著  山本 和利訳   診断と治療社   2002
  • 研修開始時に選んだテーマについてshowcase portfolioを作成し、ローテーション終了時の多職種を含むふりかえりや研修医のポートフォリオ発表会(年1回)で発表する。
  • 初期研修医向けの家庭医療ワークショップを企画・運営する(月1回)。
(2)病棟医療ユニット

期間:西淀病院で病棟を担当する期間。3年目の6ヶ月以上(地域総合内科のローテート期間)と5年目の6ヶ月(副指導医の期間)

到達目標

  • 高度な検査や処置を必要としない一般内科症例について、EBMに基づいて自らの判断で検査・治療の方針を決めることができる。適切なタイミングで専門医にコンサルトすることができる。
  • 基本に基づいた医療面接・身体診察が適切な時間内にできる。
  • 鑑別診断をふまえた症例プレゼンテーションが適切にできる。
  • 臓器別専門医療にとどまらず包括的に患者様を診る視点を身につける。

研修方略

  • 総合内科病棟で7~10人程度の患者様の主治医となる。指導医・初期研修医とのチームで担当するため、初期研修医の受け持ち患者についても把握することが求められる。呼吸器・感染症・内分泌代謝を中心とした病棟だが、初期研修で経験が不十分だった分野を中心に研修する。週3回のチーム回診、毎日のまとめ、週1回の病棟回診(6階)で診断・治療方針を確認する。
  • 研修医カンファレンス(週1回)の司会を行うとともに自らの症例についてもプレゼンテーションを行う。プレゼンテーションは標準的な教科書に基づいて準備する。
  • 医療面接・身体診察・鑑別診断について標準的な教科書の抄読会(週1回)を初期研修医とともに行い、その運営も担当する。
    参考文献 Dr. ウィリス ベッドサイド診断 G. Christopher Willis 松村 理司監訳  医学書院2008
    ベイツ診察法 Lynn S. Bickley 福井 次矢ら訳 メディカル・サイエンス・インターナショナル2008
  • EBMの5つのステップを学び、自らの診療で生じた疑問に適用してレポートとして提出する(1テーマ以上)。
  • 主治医となった患者様について高齢者や終末期のケアについて多職種で臨床倫理カンファレンスを行い、考察を行ってレポートを提出する。
(3)救急医療ユニット

期間:後期研修の3年間

到達目標

  • 一次医療機関(中小規模病院・診療所)での救急医療の役割について理解し、必要十分なファーストエイドができる。適切な処置を行った上で入院の判断あるいは専門医療機関への転送ができる。

研修方略

  • 週2単位程度の救急外来と週1回程度の外来当直を担当する。
  • 救急外来カンファレンス(週1回)に出席し症例提示も行う。
  • 診療所を含む看護師を中心とした他職種に対する救急医療の学習会(月1回)を担当する。
  • 地域のICLSコース(二次救命処置基礎コース)にインストラクターとして参加し、市民に対するBLS・AEDの指導も行う。
  • 希望があれば、ローテーションで耳原総合病院のER(救急室)研修を行う。
(4)総合外来・慢性疾患ユニット

期間:後期研修中の内科ローテート期間

到達目標

  • 初診や急性疾患を中心とする総合外来で適切な初期評価と対応を行うことができる。
  • 生活習慣病を中心とした慢性疾患を外来でフォローして必要な治療を行い、適切な全身管理ができる。

研修方略

  • のざと診療所での一般外来(週1単位)を担当する。診療終了後に指導医のフィードバックを受ける。
  • 初期研修医と指導医との外来カンファレンスに参加して症例を検討する(週1回)。
  • 専門医の予約外来を見学して慢性疾患の外来管理を学ぶ。
  • 慢性疾患グループ(糖尿病・喘息など)に所属して活動し、患者さん向けの教室を担当する。
  • 生活習慣病の治療に必要な認知行動療法の理論と技術を学び、実際の診療に生かす。禁煙外来を担当する。
(5)在宅医療ユニット

期間:後期研修中の内科ローテート期間

到達目標

  • 在宅医療の特性を生かし、生活の中で患者様を把握して診療することができる。

研修方略

  • ファミリークリニックなごみまたはのざと診療所の訪問診療を担当する(週1単位)。終了後に指導医のチェックを受ける。
  • 担当患者さんを高齢者総合評価(CGA)を用いて評価する。主治医としてサービス担当者会議にも出席する。
(6)チーム医療・マネジメントユニット

期間:後期研修の3年間

到達目標

  • チーム医療の中で医師に求められる役割を自覚し、医療の質を向上やリスクマネジメントのために必要な課題に取り組むことで病院に貢献できる。

研修方略

  • 多職種からなるチーム(感染対策チーム(ICT)・栄養サポートチーム(NST)・褥瘡チームなど)に参加し、与えられた期間でテーマを決めて改善に取り組む。大阪民医連学術運動交流集会などでの発表を目標とする。
  • 医師患者間や職種間のコミュニケーションについて、講義やセミナーを通してその理論と技術を習得する。
  • 保険診療の枠組みや病院・診療所経営について指導医および医事課から講義を行う。レセプトチェックの内容について指導医のチェックを受ける。
  • 病棟運営会議に参加し経営指標を理解した診療を行う。
(7)地域医療ユニット

期間:3年目の6ヶ月以上(地域総合内科のローテート期間)と5年目の6ヶ月(副指導医の期間)

到達目標

  • 地域の特性や健康問題を知り、その中で自らの医療機関に求められる役割を理解して患者様の生活背景を考慮した診療やヘルスプロモーションを行うことができる。

研修方略

  • 新入職員向けの地域診断フィールドワークにチューターとして参加して西淀川地域の社会状況や特性について調べ、その中で生じる健康問題と医療に対するニーズについて考察する。
  • 地域住民対象の班会や行事、企業健診などに参加する。
(8)医学教育ユニット

期間:5年目の6ヶ月(副指導医の期間)

到達目標

  • 初期研修医の指導に加わることを通じて、将来後進を育てるのに必要な医学教育の基礎を学ぶ。

研修方略

  • 総合内科カンファレンスで医学教育についての教科書や文献を抄読する(週1回)。
  • 初期研修医の副指導医として日常的な相談相手になる。医学生や初期研修医向けのカンファレンスを企画・運営してフィードバックを受ける。
  • 医学生向けの地域医療セミナーに実行委員として参加する(年2回)。
  • 医学教育学会や民医連内の指導医セミナーに参加する。
(9)臨床研究ユニット

期間:後期研修の3年間

到達目標

  • 臨床で生じた疑問について自ら科学的に答える臨床研究を行うことができる。

研修方略

  • 臨床研究を行うのに必要な研究デザインや施行方法の知識を講義・自習を通して学ぶ。
  • 研修開始時に決めたテーマについて科学的なデザインで臨床研究を行い(できれば前向き)、プライマリケア関連学会(プライマリケア学会・家庭医療学会)で発表する。
(10)社会医学ユニット

期間:3年目の6ヶ月以上(地域総合内科のローテート期間)と5年目の6ヶ月(副指導医の期間)

到達目標

  • さまざまな面で格差が広がる日本社会の現状とそれによって起こる健康問題を理解し、その中で自らの医療機関に求められる役割を理解しながら診療できる。

研修方略

  • 新入職員向けの地域診断フィールドワークにチューターとして参加して、健康の社会的決定要因や医療の社会的側面について考察する。
  • 主治医として担当した症例の中から社会的に困難な事例について、多職種での臨床倫理カンファレンスを行う。看護師とともに退院した患者様の自宅訪問を行う。

評価

形成的評価として、総合内科カンファレンスで月1回ふりかえりを行う。総合内科研修到達度評価表に基づいて3ヶ月経過時と研修終了時に評価を行う。指導医や研修システムに対するフィードバックを行い、研修システムの改善に役立てる。

週間スケジュール(例)

指導医

福島 啓(1997年卒、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医) 指導責任者
落合 甲太(2003年卒、日本内科学会認定医)

呼吸器内科研修

西淀病院呼吸器内科後期研修プログラム

対象と期間

西淀病院呼吸器内科後期研修は、将来地域の中小病院で呼吸器内科を中心とした内科医として働く意思のある人を対象とし、期間は3年間とする。

一般目標

地域の病院の呼吸器内科医として、呼吸器分野のcommon diseaseを自らの責任で適切に診断・治療できる。高度に専門的な診断・治療を必要とする症例について適切な医療機関に紹介できる。
後期研修中に日本内科学会認定医の取得を目標とし、後期研修終了後に日本呼吸器学会専門医の取得を目標とする。当院は日本呼吸器学会認定施設であり、内科学会認定医取得後3年間の研修で専門医の受験資格が得られる。

プログラムの構成

3年目までは初期研修で不十分だった分野を中心にローテート研修を行う。4年目以降は西淀病院呼吸器内科を中心に研修し、5年目前半では副指導医を担当する。希望により6ヶ月までの外部研修も可能である。

3年間のローテート例

到達目標

(1)疾患
  • 気管支喘息の診断と喘息発作の治療ができる。外来での喘息の長期管理ができる。
  • COPDを診断でき、急性増悪の治療ができる。
  • 市中肺炎・院内肺炎の鑑別診断ができ、適切な抗菌薬で治療できる。
  • 肺結核が疑われる症例を早期に認識し、周囲への感染対策を含めた適切な対応ができる。排菌のない症例について自ら治療できる。
  • 肺癌が疑われる症例を早期診断できる。肺癌の治療については、手術・放射線療法が必要な症例を適切に紹介できる。自ら化学療法が施行でき、進行癌の緩和ケアを適切にできる。
  • 睡眠時無呼吸症候群が疑われる症例を適切に診断でき、鼻マスクCPAPの外来での管理ができる。
(2)診断

  • 呼吸器分野の主訴について適切な医療面接・身体診察ができる。
  • 胸部X線・CTを自ら読影できる。
  • 喀痰グラム染色を行い、所見を抗菌薬の選択に生かせる。
  • 胸腔穿刺を自ら行い、胸水の鑑別診断ができる。
  • 気管支鏡の適応を判断し、自ら観察まで施行できる。
(3)治療
  • 在宅酸素療法の適応を理解し、適切な酸素流量の決定ができる。症例があれば導入を経験する。
  • 侵襲的・非侵襲的人工呼吸の理論を理解し、適応を判断して施行できる。
  • 気管挿管ができる。
  • 胸腔ドレナージチューブの挿入ができる。
  • 呼吸理学療法の理論について理解し、適応を判断して実施できる。
  • 禁煙指導の理論について理解し実践できる。禁煙外来を担当できる。
  • 社会保障制度について理解し、患者の社会経済的背景にも配慮して適切に利用できる。

研修方略

評価

呼吸器内科研修到達度評価表に基づいて1ヶ月ごとにふりかえりを行う。中間の時点で中間総括を行い、残り期間の目標を設定する。研修終了時の研修総括で到達度評価を行う。指導医や研修システムに対してもフィードバックを行い、研修システムの改善に役立てる。

推薦図書

呼吸器専門医テキスト  工藤 翔二ら著 南江堂 2007
呼吸器病レジデントマニュアル 第4版 宮城 征四郎監修 医学書院 2008
感染症レジデントマニュアル   藤本 卓司 医学書院 2004
呼吸器疾患最新の治療2007~2009  南江堂 2007
Felson’s principles of chest roentgenology 3rd edition Lawrence R. Goodman W.B. Saunders Company 2007
喘息予防・管理ガイドライン 2006 日本アレルギー学会 協和企画 2006
COPD診断と治療のためのガイドライン 第2版 日本呼吸器学会 2004
よくわかる人工呼吸管理テキスト 改訂第4版 並木 昭義ら編 南江堂 2007
がん診療レジデントマニュアル 第4版 国立がんセンター内科レジデント編 医学書院  2007
緩和ケアマニュアル 改訂第5版 淀川キリスト教病院ホスピス編 最新医学社 2007

週間スケジュール

指導医

大野 啓文(日本呼吸器学会指導医) 指導責任者
穐久 英明(日本呼吸器学会専門医)
福島 啓(日本呼吸器学会専門医

消化器内科研修

西淀病院消化器内科後期研修プログラム

内科後期研修期間中は将来何らかのサブスペシャル分野を選択するにしても、総合的な内科全般の力量をまず獲得し引き続いてサブスペシャル分野の研修を行う。したがって、サブスペシャル分野の研修開始は4年目以降とする。

3年間のローテート例

研修目標

患者の視点に立った安全で良質な医療を提供できるように、質の高い診療能力を有する消化器内科医を育成する事を目標とする。
具体的には以下の項目を目標として研修する。

  1. 吐・下血や腸閉塞、急性腹症などに対する救急処置について実践・習得し、また多様な消化器疾患に対して、疾患の病態生理、診断、治療の過程を正確に修得する。
  2. 侵襲的・非侵襲的人工呼吸の理論を理解し、適応を判断して施行できる。
  3. 消化管や胆膵領域における、内視鏡を中心とした消化器疾患の診断、治療や消化管癌に対する化学療法、炎症性腸疾患に対する栄養及び薬物治療を含めた総合的治療学など質の高い医療を実践できる専門医を育成する。
  4. 肝疾患診療において、急性肝疾患、慢性肝疾患、肝細胞癌症例等の肝疾患症例を経験し、肝臓病学全般に対する知識を習得する。
  5. 呼吸理学療法の理論について理解し、適応を判断して実施できる。

研修方法

  • 一般内科医としての力量を向上させる。
  • 日本消化器病学会専門医研修カリキュラムに準ずる。
  • 病棟(消化器内科+一般内科+他科:計54床)で主治医として患者を担当する。
  • 上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査などの検査を開始する。
  • 緊急内視鏡、ERCP、経皮的胆道ドレナージなどのあらゆる処置の介助を開始する。
  • それ以後は、最終的には独り立ちできることを目指す。
  • 日本内科学会認定内科医の取得を目指す。
  • 消化器病学会関連施設となっているので、消化器病学会専門医の受験資格取得が可能。

研修内容

(1)診断

消化器疾患の診断に必要な検査手技である上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、腹部超音波検査、ERCPなどを習得する。

(2)治療

治療手技として、イレウスチューブ挿入、内視鏡的胃瘻造設術の術者、消化管出血に対する内視鏡的止血術、食道静脈瘤硬化療法、内視鏡的粘膜切除術、消化管拡張術、胆道系治療(ENBD、 EST、 Stent、 PTBD)、肝腫瘍に対するエタノール注入療法やラジオ波焼灼療法の助手となり、技術のみならず、術前後の対応を学ぶ。その他、消化器癌に対する化学療法、炎症性腸疾患のコントロール、急性膵炎の治療、ウイルス性肝炎に対する抗ウイルス療法などを修得する。

(3)カンファランス他

毎週一回ずつ、消化器カンファレンス、月に一回、大阪民医連4病院の消化器内科の合同カンファレンスが開催される。研究会、学会に参加し積極的に発表を行う。

当院において修得可能な検査、治療手技一覧

(1)検査手技
  1. 上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、など
  2. ERCP、など膵、胆道系の検査
  3. 腹部超音波検査、造影超音波検査
  4. 腹部血管造影
  5. 肝生検、超音波ガイド下腫瘍生検
(2)治療手技
  1. イレウスチューブ挿入
  2. 消化管出血に対する内視鏡的止血術、内視鏡的粘膜切除術、消化管拡張術
  3. 内視鏡的胃瘻造設術
  4. 食道静脈瘤硬化術(EIS)、結紮術(EVL)
  5. 胆道系治療(ENBD、EST、Stent挿入術、PTBD/PTGBD など)
  6. エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法
  7. 肝癌や消化管出血に対するTAEやリザーバー動注など
  8. 消化器疾患の内科的治療(癌化学療法、肝炎に対する抗ウイルス療法など)

資格取得について

臨床研修指定病院
内科教育関連病院
日本消化器病学会関連施設

  1. 2年間の臨床研修修了後、内科教育関連病院である当院内科にて1年研修後、認定内科医の受験資格が得られる。
  2. その後、さらに消化器内科を中心に教育関連病院である当院内科にて5年以上研修するか、あるいは他の教育病院で内科研修歴が1年以上あれば当院の内科研修は2年以上にて認定内科専門医の受験資格が得られる。
  3. 認定内科医取得後、日本消化器病学会入会歴が4年以上であれば、日本消化器病学会専門医の受験資格が得られる。

2008年の主な検査・治療実績

上部消化管内視鏡検査 1906件
内視鏡的止血術 9件 EVL・EIS 19件 内視鏡的粘膜切除術 3件
内視鏡的異物除去 8件
下部消化管内視鏡検査総数 total 457件 + シグモイドファイバー 89件
ポリペクトミー及び内視鏡的粘膜切除術 138件
ERCP 28件
EST 12件 ENBD 8件  ERBD 4件
PTCD 4件(ステント留置 2件)
ラジオ波・マイクロ波 3件  エタノール局注 22件
動脈塞栓術・抗癌剤動注療法 50件
PEG造設 31件

医師

赤路 英世(84年卒、消化器病学会専門医、内科学会認定医)

糖尿病研修

西淀病院地域総合内科後期研修プログラム

対象と期間

後期研修医(3~5年目)で将来、糖尿病専門家として病院、診療所、地域で糖尿病治療の中心として働く意志のある人を対象として、期間は3年間とする。

一般目標

わが国で急激に増加しているcommon diseaseである糖尿病のマネージメントが的確に行える。

プログラムの構成

3年目までは初期研修で不十分だった分野を中心にローテート研修を行う。4年目以降は西淀病院呼吸器内科を中心に研修し、5年目前半では副指導医を担当する。希望により6ヶ月までの外部研修も可能である。

到達目標

初期到達目標
  • 糖尿病に関連する詳細な病歴聴取ができる。
  • 一般内科的な身体所見に加えて、特に腎症、神経障害などの合併症の身体所見がとれる。
  • 糖尿病の診断基準および病型分類を正しく理解し、診断できる。
  • 必要な臨床検査を理解し施行できる。(血糖日内変動、簡易血糖測定、75gOGTT、血中、尿中Cペプチド、糖尿病関連自己抗体、グルカゴン負荷試験など)
  • 合併症の診断、分類と必要な臨床検査を実施、解釈できる。(尿タンパク、尿アルブミン、Ccr、CVRR、Schellong test、眼底写真、ABI、負荷心電図、頸動脈エコーなど)
  • 患者指導教育に参加、自らカリキュラムの作成ができる。
  • 基本的な治療を安全かつ有効に施行できる。
  1. 個々の患者に適した治療の選択と治療目標の設定
  2. 食事療法の理論を理解し、食品交換表に則り食事量を決め、指導できる。
  3. 運動療法の理論を理解し、適応を判断、実践できる。
  4. 経口血糖降下剤の薬理作用を理解し、患者の病態に合わせ処方できる。副作用を理解し予防できる。
  5. 1型および2型糖尿病の基本的なインスリン療法を理解し、各インスリン製剤の特徴を把握して処方できる。
  6. インスリン自己注射の指導、自己血糖測定の指導ができる。
  7. 低血糖の対応、シックデイの対応を指導できる。
  8. 高血圧、脂質異常症など大血管合併症の原因となる疾患の適切な治療ができる。
後期到達目標
  • インスリン強化療法の理論、利点、欠点を理解し実践できる。
  • CSII、カーボカウンティングの理論と実践。
  • 進行した合併症患者の治療のマネージメント。(糖尿病腎症から腎不全期に至っている例、増殖網膜症例、有痛性神経障害例など)
  • 糖尿病足壊疽等足病変患者の適切な評価、治療ができる。
  • 頸動脈エコーの技術の獲得。
  • 患者教育の中心的指導者となる。
  • 糖尿病治療チームの中心として、指導的役割を果たせるようになる。

研修方法

初期研修方法
  • 糖尿病専門医の指導の下、糖尿病患者を中心に病棟の主治医を務める。
  • 糖尿病教室の見学し、終了時には教室の講師になれる技量を身につける。
  • 週1回病棟でのカンファレンス。抄読会。
  • 月1回医師、病棟、外来、薬局、栄養科、事務系での糖尿病グループ会議への参加。
  • 患者会催し物への参加。
  • 学会、研究会への参加。
後期研修方法
  • 病棟診療のみならず、指導医の下で糖尿病専門外来を行う。
  • 生活習慣病予防外来、フットケア外来を行う。
  • 病院内、地域で糖尿病教育の講師を担う。
  • 外来、病棟での糖尿病教室の講師を定期的に担当する。
  • 糖尿病グループ会議で、新しい目標、企画の提案を行い、集団的医療の役割を担う。
  • 日本糖尿病学会総会、地方会、その他研究会等での発表を行なう。
  • 大阪大学医学部内分泌代謝内科での外部研修をおこなう(期間は要相談)。人工膵島、妊娠糖尿病の管理、他の内分泌疾患について学ぶ。

医師

指導責任者 ・・・ 結城 由恵 (日本糖尿病学会専門医)
医 員 ・・・ 村瀬 明世

研修医・修了者のメッセージ

スタッフ全体がチームとなって。

医師 石井 大介石井大介と申します。
私はプログラム「なごみ」の卒業生で、家庭医療専門医を取得し現在は東大阪生協病院で家庭医療分野を開拓しながら当プログラムの研修指導に携わっています。赤ちゃんからお年寄りまで家族全員の主治医となり、地域に住む全ての人たちの健康に関わる家庭医の姿に魅せられてこの道を選びました。
当プログラムの特徴は、病院総合医との連携により確かな臨床能力を身につけることができること、地域住民と協同での健康増進活動、そして他施設プログラムとの学び合いです。クリニックでは、看護師や事務職員まで全てのスタッフが家庭医療について関心を持ち、より良い看護や接遇に生かしていこうという雰囲気があり、研修に最適な環境だと自負しています。
将来広く地域の人々の健康に貢献したいと思う研修医・学生のみなさん、ぜひ一緒に学び合いましょう。

医師 石井 大介

こどもからおばあちゃん、おじいちゃんまで。

医師 金子 愛子みなさん、はじめまして。金子愛子です。
そもそも私が家庭医をめざそうと思ったのは・・・こどもからおばあちゃん、おじいちゃんまで家族を含めて、診れるようになりたいと思ったからです。
後期研修1年目は内科を中心に総合内科、消化器科、循環器を研修しました。2年目は小児科を中心に研修しました。小児科研修しながら、内科外来も行いました。
数ヶ月前に、小児科で診ていたこどものお母さんが偶然にも私の内科外来に受診され、嬉しい気持ちになりました。
みなさんも家庭医に興味があれば、一緒に研修しましょう!!

医師 金子 愛子

『家庭医』というキーワードにピンと来た人はぜひ!

医師 花房 徹郎

①家庭医プログラムを選んだ理由

地域の人によい近いところで医療がしたいという気持ちから、『家庭医療』というものに興味を抱き、家庭医プログラムを選択しました。

②これまでと現在の研修内容

後期研修の前半は、総合病院で消化器、循環器など専門科ローテートや、総合診療科で初期研修医の指導医を担わせて頂いたりと病棟での内科中心の研修を行いました。後半には、診療所研修を行った後に、自分の希望に合わせたローテート(整形外科、小児科、外来中心の研修)を予定しています。

③なごみプログラムのセールスポイント

受け身ではなく、積極的に研修をよりよくしたいと思っているたくさんの仲間がいることです。またやりたいことを実現できる環境もそろっています。

④今後の目標

一般外来や訪問診療を、自信をもってこなせる、または指導できるような医師を目指しています。

⑤このHPを見ている人に一言

家庭医療についてよく知らない人でも、ピンと来た人はぜひ!一緒に勉強していきましょう。

(後期研修時の記述)
医師 花房 徹郎

自分らしい研修を組み立てることができます。

医師 野口 愛

①家庭医プログラムを選んだ理由

好きな臓器を探しても見つからず、その人自身と長く、かつその取り巻く背景を丸ごと診ることができる科⇒"家庭医"を学びたいと考えたから。

②これまでと現在の研修内容

1年目は内科病棟、外来、往診を、2年目は小児科・整形外科・産婦人科・緩和・往診を。3年目の診療所研修は、これまでの研修を活かして、なごみ外来や往診の他に予防接種外来、子宮癌検診、乳癌検診などもやっています。

③なごみプログラムのセールスポイント

職員みんながアットホームな雰囲気

④今後の目標
⑤このHPを見ている人に一言

みなさんも、私たちと一緒に家庭医の仲間入りをしませんか?

(後期研修時の記述)
医師 野口 愛

地域に打って出る家庭医療に憧れを感じて。

医師 長 哲太郎

①家庭医プログラムを選んだ理由

患者さんのトータルヘルスプロモーションというところで、予防や患者教育といった病院だけではない、地域に打って出る家庭医像に憧れを感じたのと、大阪という地域が好きだったからです。

②これまでと現在の研修内容

初期研修2年を終え、現在コープおおさか病院で消化器内科を中心に病棟および外来研修をしています。
隔週の水曜日には、ファミリークリニックなごみで午前の外来1単位と、午後は患者宅での健康教育(班会)を行い、夕方からは西淀病院にて臨床倫理カンファレンス、ハーフデイバックに参加しています。

③なごみプログラムのセールスポイント

振り返りが適切なタイミングで行われており、自身の診療の質の向上ができると思います。また、民医連に特徴的な'濃い'患者さん'をマネジメントする面白さ、そして元気な後期研修医集団が魅力的だと思います。

④今後の目標

継続的なファミリークリニックなごみ周辺での外来診療、往診診療、患者教育を通して、3年間で地域の健康指標の向上をアウトカムにするようなリサーチを行うことと、初期研修医教育に携われるような臨床力を磨いていきたいと思っています。

⑤このHPを見ている人に一言

まだまだ開拓中のプログラムですが、地域の方一緒に健康づくりをしていくフィールドがあると思います。独創性があり、優秀で、コミュニケーションスキルに長けている方は、きっとやりがいのある後期研修ができると思います。ぜひ、一緒に研修をしましょう、そして、僕にご教授下さい。

(後期研修時の記述)
医師 長 哲太郎

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