西淀病院 診療科・部門【部門】
部門
リハビリテーションとは
今までは、病気、怪我及び加齢などさまざまな原因によって生じた心身の障害に対して、その障害が元の状態に戻るような訓練を行うことだと考えられてきました。しかし現在では、障害を治すだけではなく、障害を持った人が障害を持ったままでも、よりよい人生を送ることができるよう、支援を行っていくことが重要であると考えられています。そのため、医学的な機能訓練はもちろん、必要に応じて、社会(住み慣れた地域、学校・職場等)復帰へ向けた支援や、車いすでの交通機関の利用や片麻痺の方の調理、さらには社会制度の活用など社会生活力を高める支援など総合的に行います。
つまり、リハビリテーションとは単なる機能回復(訓練)ではなく、「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きること」が重要で、そのために行われるすべての活動をいいます。加えて、予防の観点から、日頃から生活に運動を取り入れたりすることも、重要なことであると考えられています。さらには、体の不自由が残っても安心して生活ができるような社会を実現することが必要です。
西淀病院では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)のようなリハビリテーション専門職だけでなく、医師、看護師、介護福祉士、医療ソーシャルワーカー(MSW)など様々な医療スタッフが関与・連携し、チーム一丸となって患者さんの機能回復、日常生活の自立を図っていますが、ボランティアや家族の方々の支えも大変重要になります。
【理学療法士(PT:Physical Therapist)】31名(2021年7月現在)
理学療法士は怪我や病気などで身体に障害のある人や、障害の発生が予測される人に対して、日常生活を行う上での基本的動作能力(寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に関わります。そのために、運動療法(関節可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法)、物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)、日常生活動作練習(動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法)を行います。加えて介助方法のアドバイスや、生活環境調整(家屋評価)などを行い、自立した日常生活が送れるよう支援する専門職です。
【作業療法士(OT:Occupational Therapist)】16名(2021年7月)
作業療法士は怪我や病気などによる身体運動機能の障害に加え、高次脳機能障害(脳の損傷が原因で、言語や記憶、注意、情緒といった認知機能に起こる障害)や、精神機能障害(器質的な障害がなくて、様々な要因による精神に関して異常をもたらす病気)などを主として対象とします。
基本的動作能力、応用的動作能力(食事、トイレ、家事など、日常で必要となる活動)、社会的適応能力(地域活動への参加、就学・就労)などを維持・改善し、「その人らしい」生活の獲得を目指します。さらに将来の生活を見越し、その時の症状にあわせて、こころとからだの基本的な機能改善を援助する(種々の自助具作成、生活環境調整など)とともに、新たな機能低下を予防します。
【言語聴覚士(ST:Speech Therapist)】7名(2021年7月現在)
言語聴覚士は「話す」「聴く」「食べる」といった機能に課題を抱える人に対して、問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために、専門的な評価や訓練などを行います。
ことばによるコミュニケーションの問題は、脳卒中後の失語症、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。
また、加齢や脳血管障害などが原因で摂食・嚥下(食べる・飲み込む)が困難な人に対して、咀嚼から嚥下までの一連の行為の中で、問題になっている部分を明らかにするために、必要に応じて精密検査(VF検査:バリウムを用いた嚥下検査)を行い、食事形態(食べ物を細かく切る、とろみをつけるなど)や介助方法などを詳しく説明しています。
これらの障害を持つ患者さんは、見た目では障害があると分からないため、周囲から理解されにくいこともあります。言語聴覚士は、そんな患者さんの不安な気持ちに寄り添い、ご本人やご家族とともにその方らしい生活や人生の回復をめざして支援しています。